最近、SNSを眺めていると「子供がやりたがっているゲームはユーザーがみんな暴言を吐いている」とか「学校でそのゲームを遊んでいる子はみんな問題児だ」「あんな子と同じゲームをしていたら暴言が伝染るから遊ばせない」、しまいには「15歳以上しか遊べないゲームなのに与える親はどうかしている」といった投稿をよく見かける。前後の投稿を見るとフォートナイト(Fortnite)というゲームのことのようだけど、少しばかり勘違いをされている方もいらっしゃるようなので、噛み砕いて話を進めていきたい。
まず、「15歳以上しか遊べないゲーム」ではない。正確には「15才以上を対象とする表現内容が含まれているゲーム」だ。しかもこれはメーカーが自分で決めたものではなくて、「特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構」、いわゆるCEROというNPO法人が第三者として審査した結果を、メーカーが表示しているに過ぎない。
CEROは20年以上前にできた機関で、それ以前は一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)という組織や各ゲーム機メーカーなどが「合格」と判断したものだけが販売されていた。「不合格」となれば修正しないと販売できないのはメーカーにとって痛手だ。ところがゲームが3Dになって直接的にグロテスクな表現が可能になったこと、複数の審査機関が存在するせいで、ゲーム機では「不合格」と判断されてもパソコン版では「合格」してしまうといった現象が起きるようになってきたこと、海外に輸出する際に「日本としての基準」を示せるようにすること、いろんなことが積み重なってCEROが発足された。ゲームに制約をつけることが最優先ではない。「ゲームが健全に、届くべき人の元に届くための架け橋」を用意してくれているのだ。
CEROの審査対象には「暴力」や「犯罪」「ホラー」といったカテゴリーのほかに、「恋愛」なんて要素もある。恋愛描写があるだけで対象年齢が上がったりする。そして何より、CEROは「◯歳以上を対象とする表現が含まれている」という提示までしかしない。唯一「18才未満者に対して販売できない」というカテゴリーも存在するけれど、これは大人でも目を背けたくなるようなごく一部のホラーゲームなどにしか付くことがない。逆に言えば、そういった「対象者を限定したゲーム」以外は、どんな開発者だろうが少しでも低年齢向けと判定してもらいたくて開発している。一人でも多くの人に遊んでもらいたいからだ。
ハニホヘトイロでは「ハニホヘトーク」という、子供にも安心して不特定多数とチャットできるツールを用意している。なぜわざわざそんなものを開発したかと言うと、「日本には13歳以下が使えるチャットツール」が存在しなかったからだ。子供が入るチャンネルには必ず親も強制参加、ダイレクトメッセージ機能なし、子供の名前が呼ばれると親のスマホにプッシュ通知。ニックネームでの登録を前提としているし、ハニホヘトイロの参加者だけしか使えないので、何重にも安全策を講じているつもりだ。
チャットツールには、CEROのような審査機関はない。それでも、なにか問題が起きたら責任が取れないということなんだと思う。
例えばLINE。利用推奨年齢は12歳以上とLINE自身が言っている。いじめや不適切な出会いの温床になりかねないから、これは確かに危険だ。第三者ではなくLINE自身でそう言っているんだから、いくら便利なツールとわかっていても12歳未満の親は全員LINEを与えていないのだろうし、12歳以上の子どもにもペアレンタルコントロールをかけて、しっかりと子供を危険から守る努力をし続けているのであろう。もちろん、「いじめが起きそうな雰囲気になれば止めてあげよう」「どうしてもターゲットにされそうな時は勇気を持って逃げよう」「なにかあったらすぐお母さんお父さんに相談しよう」と、使い方だけでなく人との関わり方も都度教えてあげているに違いない。。。
フォートナイトは全世界で6億5000万人以上が登録していると言われている。となると、地球の人口の1割弱は問題児なのだろうか。アメリカでは登録ベースで人口の約40%がアカウントを持っているという。アメリカ人の4割は、荒くれ者なのだろうか。学校に暴言を吐く子がいたら「暴言が伝染るから学校に行くのは禁止」とするのだろうか。
最近のゲーム、特にボイスチャットやチャットがついているゲームにはほぼ間違いなくペアレンタルコントロール機能がある。親が適切な設定を行うことで、ボイスチャットをオフにしたり、親が認めたユーザーだけをフレンドにしたり、遊べる時間を決めたり、勝手に課金しないようにしたり。「知らないから与えない」ではなく「子どものために自分も知ろう」というスタンスがあっても良いはずだ。子供が欲するものを、ましてや無料で遊べるゲームを、子供が納得できない理由で与えないのは理不尽な話だと思う。親は学ぶ、そして子供にルールをしっかり守らせる。困り事が起きたら一緒にルールを見直す。難しいことはたくさんあるけれど、それが子供のためになるなら少しだけでも時間を割いてみるのも良いのではないだろうか。
昔は公園で遊ぶのが当たり前だった。でもボール遊びができなくなった。放課後は友達の家に集まるのが普通だったのに、いまは親同士が繋がっていないと遊びに行けない。こんなご時世なのに、いまの子供達にとって数少ない社交場であるオンラインゲームを、どうしても禁止にしなくてはいけない理由があるなら教えてほしい。
足立区西新井で、そんなことを親子で一緒に考えられる場所をやってます。