皆さんは日常的に腕時計を身につけたりするだろうか?
僕は社会人になってもそんなものに興味がなかった。パソコンにかぶりつく仕事だったから画面には秒単位まで正確な時計が映し出されていたし、スーツを着るような業界ではなかったので腕元でオシャレをする必要もなかった。時間を知りたければケータイを見れば済む、くらいの感覚でいた。
それが、事情が少し変わってきた。10数年前からいわゆる『AppleWatch』を含むスマートウォッチというものが出回り始めた。それ以前にも同じような呼ばれ方をした時計はあったが、これらはスマートフォンと連携したり、健康管理にも役立つという。Suicaみたいな交通電子マネーなんかにも対応するなど、デジタルに囲まれていることに幸せを覚える身として、腕時計は一気に放って置けないアイテムになった。
そして5年前、いくつかのスマートウォッチを経てAppleWatchに落ち着いた。Suicaもクレジットカードのタッチ決済もできて、運動量や睡眠の時間と質の計測、iPhoneへのプッシュ通知の検知など、すべてが自分の左腕だけで完結できる。画面を2回タップするだけでカップラーメンの待ち時間だって計れる。
きっかけは、ふとした思いつき
今回のアプリの開発において、大層な理由なんてない。ソファにもたれかかりながらMacBookの画面を眺めていたとき、画面を操作するために姿勢を正すのが面倒だった。そして視界ギリギリに映るAppleWatch。右の人差し指で画面をツルツルしてみる。
「これ、マウスカーソル動いたら楽なのにな…」
そこから本当にMacBookのカーソルがAppleWatchで動くまで、たったの半日。順調に見えた。
しかし、ここで大きな問題に行く手を塞がれる。AppleWatchがMacとの通信を行うための許可は、iPhoneでしか出せないというのだ。
「だったら、AppleWatchからiPhoneにプッシュ通知を送ったら良い」
と考えたのだが、iPhoneのプッシュ通知はiPhoneで許可しないと届かない。
Macを動かしたい:⌚AppleWatch→💻️Mac ただし、📱iPhoneで設定が必要
通知を送りたい : ⌚AppleWatch→📱iPhone ただし、📱iPhoneから許可が必要
ただAppleWatchをMacに繋げたいだけなのに、そこにはiPhoneという大きな壁が立ちふさがっていた。
仕方のないポジションチェンジ
そこで考えた。「表向きはiPhoneアプリとして配信し、AppleWatchはオマケとする」戦法である。当初の目的とは異なるように見えるが、もはや手段なんて関係ない。『AppleWatchでMacを動かす』という、一見どうでもいいと思える機能を一人でも多くの人に届けられればそれで良いのだ。
iPhoneでアプリを作るとなった以上、ただのカーソル操作アプリにするわけにはいかない。AppleWatchと違って画面が大きいのだ、文字入力くらいできないとiPhoneで出す意味がない。
しかし、この戦略は結果的に功を奏した。画面から離れても思うように操作できる幅が広がったことにより、「アクセシビリティ」という言葉を前面に押し出すことができるようになった。ベッドから出られない人、デスクにつくのが難しい人でもMacを思いのままに操れる。ここまで作り込んだことで無事Appleの審査に通り、アプリが世に出ることとなった。
最初に掲げた目的や目標は、達成できないことは少なくない。でも、ほとんどの場合、それは誰のせいでもない。他の人が先にクリアしてしまった、なんてこともあるだろう。いわゆる「大人の事情」なんてことだってよくある話だ。問題はそこからで、いかに喰らいつくか、いかに周りが求めているもののフリをして自分のやりたい放題やるかが楽しくなってくる。いや、楽しまないとやっていけない。
というわけで、AppleWatchでMacを操作したい方、iPhoneならあるから試してみたいという方に是非とも触れていただきたい。改善要望や意見、なんでもお待ちしてます。
おもしろいものを作ってみたい、見てみたいと思ったら遊びに来てください。やりたいことをみんなと一緒に学べます。